SA3’s diary

ハースストーン 闘技場(アリーナ)

トレードをする理由、フェイスに行く理由(ハースストーン闘技場)

目次
T トレードをする理由
T1 ボード
 T1‐① 有利なトレードをする(重要度A)
 T1‐② 不利なトレードを防ぐ(重要度A)
 T1‐③ 危険なミニオンを倒す(重要度A)
 T1‐④ 相手のヒーローパワーを有効に使わせない(重要度B)
T2 相手の手札
 T2‐① バフ(無敵、聖なる盾、回復等を含む)(重要度B)
 T2‐② 軽い除去(重要度B)
 T2‐③ 単体除去(重要度C)
 T2‐④ 全体除去(AOE)(重要度C)
T3 ライフ
 T3‐① 自分のライフを守る(重要度A)
F フェイスに行く理由
F1 ボード上の要素
 F1‐① トレードをする理由が無い(重要度C)
F2 自分の手札、デッキ
 F2‐① 次のターンに除去を打ちたい(重要度B)
 F2‐② 手札・デッキが軽い(重要度A)
F3 ライフ
 F3‐① リーサルが見える(重要度A)
 F3‐② 相手のライフを削る(重要度C)
 F3‐③ 自分のライフが危険(重要度B)

 

・始めに
配信でもたびたび話題に上がるフェイスorトレードについて。僕自身いまだに怪しい部分が多いので、根本的なところから見直すため、基本的な内容を整理してまとめました。ハースストーンのリリースから6年が経過し、いまさら基本的なことは聞きづらいという方も居るでしょう。そういう方々の助けになるかもしれないので、ここに公開します。ただ、場面によって答えが変わることが多すぎるため、「これだけやれば勝てる」というような単純な勝ち方は示せません。この記事で書けるのは考え方だけです。これらをもとにして、常に最善を考え続ければ少しずつ実力が上がっていく、ということだけは保証できます。

 

・闘技場における基本的な勝ち方
闘技場における最も基本的な勝ち方は、ボードにミニオンを並べて相手のライフを削ることです。ボードを制圧し、維持、強化し、相手に逆転の手段を与えず、じわじわ削る、という形が理想です。ボードを優勢にするためには、出したミニオンに最大の仕事をしてもらうためのトレードを行う必要があります。この先はトレードに焦点を絞り、強いボードをつくるために考えることを説明していきます。

 

・重要度
各項目に重要度を記載します。重要度が高い項目は行動を選択する理由として強めで、重要度が低い項目は他の理由によって無視されることも多くなります。

 

T トレードをする理由

T1 ボード
ボード上の要素(目に見える範囲のみ)で、考えるべき点を挙げていきます。このターンに自分ができるいいトレードはどれか、次の相手のターンに相手が望む行動は何かを考えて行動を選択します。

 

T1‐① 有利なトレードをする(重要度A)
「自分のミニオンによって相手のミニオンを倒し、生き残った自分のミニオンを再度トレードに使う」一言でいえばこういうことです。
(例)
相手 2/1 3/2
自分 2/3 2/4(Z)
※数字はミニオンのアタックとヘルス、(Z)は召喚したターンで動けないミニオン

※3月3日追記 ↑の(Z)は2/4がこのターン動けない、という意味です。
この場合、自分の2/3で相手の2/1を倒します。そうすると、
相手 3/2
自分 2/1 2/4
この形でターンエンドです。次のターンで相手の3/2と自分の2/1のトレードが狙えます。自分の2/3(2マナ相当)は相手の2/1と3/2(合計3マナ相当)を倒せるので、1マナ分得なトレードになります。

 

T1‐② 不利なトレードを防ぐ(重要度A)
T1‐①の逆です。次の相手のターンで相手にとって有利なトレードがあれば、それを事前に防ぎます。
(例)
相手 2/3 2/4
自分 2/1 3/2 3/3(Z)
このままでは次のターンに2/3→2/1、2/4→3/2と倒され、相手のボードに2/1が2体残ってしまいます。そこで、こちらの3/2を2/3とトレードします。このトレード自体は有利でも不利でもないトレードですが、先に挙げた2/1が2体残る場合よりは被害が小さくなっています。

 

T1‐③ 危険なミニオンを倒す(重要度A)
これは簡単です。相手のボードにナイフジャグラー、影の超越者、コバルト・スケイルベインなど、放っておくと大変なことになりかねないミニオンがいれば、それを優先的に倒します。

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T1‐④ 相手のヒーローパワーを有効に使わせない(重要度B)
(例)
相手がローグ、メイジ、ドルイドの場合
相手 2/1
自分 3/1 3/4(Z)
3/1を2/1とトレードするかフェイスに行くか、という問題です。体力1のミニオンを残すとヒーローパワー(以下ヒロパ)で倒されてしまいます。これは避けるべきでしょうか。次のターンに相手がヒロパを使いたい状況かそうでないかは、相手の手札によります。例として、相手が4マナのターンに4マナミニオンを置きたいのであればヒロパは使えませんが、4マナミニオンがおらず、2マナミニオン+ヒロパという動きをするのであれば、自然にヒロパが使えます。自分からは相手の手札は見えないので、どちらになるのかわかりません。わからないのでトレードをしてもしなくてもいいのでしょうか。それは違います。トレードをしておけば、前者の場合に損はなく、後者の場合に得をするので、こういう場合はトレードが基本です。トレードによって得が確定するわけではありませんが、得をする可能性があるのであれば、それを選ぶべきです。トレードをしなかった場合、ボード上の要素で得をすることはありません。(相手のライフが削れるメリットはあります。その点にはフェイス編で触れます。)
相手がプリーストの場合にも似たようなケースが考えられます。その場合も、相手のヒロパが有効に使えそうであれば、選択肢を潰しておくのが無難です。

 

T2 相手の手札
「相手の手札から出てくる可能性のあるカードのことを考え、被害を軽減する(ケアする)」
T1‐④で少し触れましたが、相手の手札は見えないので完璧な予測は不可能です。それでもパターンごとに対応を想定しておくことで、被害を軽減することはできます。また、相手の理想的な動きを事前につぶしておくことで、相手がやむを得ず別の弱い動きにシフトする、ということが起こります。自分が強い動きをするというのは重要ですが、相手が弱い動きになる可能性を高めることも、勝率を上げるためには重要です。

 

T2‐① バフ(無敵、聖なる盾、回復等を含む)(重要度B)
(例)
相手 2/2
自分 2/2 3/4(Z)
このような場合、自分の2/2はどうするべきでしょうか。2/2と2/2のトレードは有利なトレードではありませんし、ボードだけを見れば放っておいても不利なトレードは発生しません。しかし、相手が無敵付与、聖なる盾付与、体力上昇などを持っていた場合は、一方的に2/2が倒されてしまいます。それらを有効に働かせないため、ここはトレードが無難です。

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T2‐② 軽い除去(重要度B)
(例)
相手 4/5
自分 2/2 3/3 3/3(Z)
2/2と3/3を使って相手の4/5を倒すかどうかという問題です。これも有利なトレードではありません。放っておくと4/5で3/3が倒されますが、次のターンに相手のボードに残った4/2に2/2をぶつければ問題はありません。ではフェイスでしょうか。ここでもトレードをする理由があります。例えば相手が2/2に2ダメージを飛ばしてきた場合、次に自分は相手の4/2に3/3をぶつけないといけません。本来2/2でできた仕事を3/3でしなければならなくなり、損失が発生しています。(T2‐①で触れた聖なる盾、無敵のリスクもあり、傷ついた4/2が回復される場合もあります。)

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T2‐③ 単体除去(重要度C)
(例)
相手 6/6 
自分 8/8挑発 5/5(Z)
ここまでは序盤の話が多めでしたが、この辺りから中盤以降の話になっていきます。(例)は自分が4/4のミニオンにボーンメアのバフをかけたところです。挑発を壁にしてフェイスに行く手ももちろんありますが、トレードをする理由もあります。具体的には8/8に対する除去(フレイムランス、暗殺など)と沈黙です。これらを使われると大きな損になり、さらに6/6で5/5が倒されます。ではこれらを警戒して8ダメージをあきらめ、トレードするべきでしょうか。双方のライフや手札によるので、一概には言えません。ただ、トレードすることによって防げる被害もあるということは覚えておいたほうがいいでしょう。

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T2‐④ 全体除去(AOE)(重要度C)
(例1)
相手 3/3 
自分 2/1 2/1 3/4 4/4(Z)
5ターン目のボードとします。 「T1‐①有利なトレードをする」に基づけば3/4で3/3を倒すことになります。自分のボードに2/1、2/1、3/1、4/4が残り、ボードは優勢です。攻撃力が合計11点分あるので、次に相手が出すミニオンをすべて倒してもおつりがくる程です。ただし、このボードはドラゴンモーの爆炎竜や卑劣なるドレッドロードなどで全体1ダメージを飛ばされると崩壊します。ではそれを避ける手段はあるのでしょうか。この場合、2/1を2体使って3/3を倒すという選択肢があります。この場合に自分のボードに残るのは3/4と4/4です。合計攻撃力は7と大きく減りましたが、まだ優勢には違いありません。この場合はどちらの選択肢を取るべきでしょうか。これも手札やライフの都合で変わるので、一概には言えません。欲張るのであれば前者、安全に行くのであれば後者を選ぶということになるでしょう。

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(例2)
相手 4/3
自分 1/2 5/4 3/4(Z) 4/4(Z)
(例2)は対メイジの7ターン目のボードです。5/4で4/3とトレードをするかどうかという問題で、テーマはフレイムストライク(以下フレスト)のケアです。5/4と4/3のトレードは不利なトレードにあたるので、積極的にしたいトレードではありません。しかし、フェイスに行きフレストを撃たれると、自軍は全滅し相手に4/3が残ります。トレードをしておけばフレストを撃たれても空のボードで済みます。ここでも直前の(例1)やT2‐③と同様フェイスダメージと安全性の比較になり、明確な正解はありません。

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T2‐X 何をどこまでケアするか
トレードの話から少しそれますが、ケアをするかしないかの基準について少し書きます。ボードが優勢であれば、広い選択肢から最もバランスの良いものを選び、様々なものをケアできるでしょう。しかし、そこまで余裕のないときは、あれもこれもケアすることはできません。ケアすることによってボードが弱くなりすぎるようであれば、相手に別の逆転の手段を与えることになり、勝率を下げることになります。「〇〇ケア」という動きは、ボードが弱くなる損とリスク軽減のどちらを取るかという選択になることが多く、とにかくケアすればいいというものではありません。この点を意識しながら経験を積めば、いずれバランス感覚が身に付き、状況に応じた選択肢を取れる率が上がっていくでしょう。

 

T3 ライフ
T3‐① 自分のライフを守る(重要度A~D)
自分のライフが危ない場合です。自分のライフを守るために、相手のボードの総攻撃力がなるべく低くなるようにトレードを行います。ライフに余裕があるときはこの項目は無視できますが、逆にライフに余裕がなければ最も重要な項目になります。自分のライフに余裕があるのかどうかを正確に判断するのはとても難しく、ここも腕が問われるポイントの一つです。ただ、トレードとは別のテーマとなるので、今回は深く掘り下げることはしません。

 

F フェイスに行く理由
トレード編はどうでしたか。こうして見ていくと、大半の場合はトレードをする理由があるということがわかると思います。では毎ターントレードし続けるのが正解なのでしょうか。もちろん違います。トレードによって失うものもあります。ではフェイスに行くのはどういう場合でしょうか。ここからはフェイス編です。

 

F1 ボード上の要素
F1‐① トレードをする理由が無い(重要度C)
題名通りです。トレードをする理由がなければ、フェイスに行くことで相手のライフを削れます。ただし、この理由に基づいてフェイスに行くケースは多くありません。たいていの場合、何かしらトレードをする理由があります。

 

F2 自分の手札、デッキ
F2‐① 次のターンに除去を撃ちたい(重要度B)
次の自分のターンの動きが限られている場合など、特定の除去カード(主に1~3ダメージの軽い除去)を次のターンで使いたい場合があります。相手がちょうどよく対象となるミニオンを出してくれればいいですが、そうなるとは限りません。そこで、今のターンにトレードをせず除去の対象となるミニオンを残しておけば、次の自分ターンの動きを確保することができる、という場合があるわけです。言い換えると、トレードでボードをすっきりさせることがデメリットになる場合があるということです。ただし、当然相手のミニオンを残すことで発生するリスクもあるので、トレードした場合としなかった場合のメリット、デメリットを比較することになります。

 

F2‐② 手札・デッキが軽い(重要度A)
フェイスに行く理由として最も大きいものがこれです。トレードを多めに行えば当然ゲームは長期化しますが、それに耐えうるだけのバリューを持っていなければ、行き着く先は息切れ負けです。軽いデッキの場合は積極的にフェイスに行かなければなりません。デッキの重さによって、フェイスよりかトレードよりか、あらかじめ方針を決めておくといいでしょう。(デッキが完成してから考えるのも悪くないですが、ピックの中盤あたりからデッキの方針を意識すると、デッキの完成度を上げることができます。) ゲーム中も常に手札と相談し、短期決戦を目指すべき状況になった場合はリスクを負ってでも強引にフェイスに行く必要があります。

 

F3 ライフ
F3‐① リーサルが見える(重要度A)
数ターン以内にリーサルが見込める場合です。この場合、多少リスクを負ってでもファイスに行くことで決着を早め、長期化することで発生する別のリスクを軽減することができます。この理由でフェイスに行く場合、意識するべきはリーサルの確実さ(防ぎにくさ)です。例えば、ハンターのヒロパやパイロブラストなどは回復などの一部のカードでしか防げない強いリーサルです。逆にボードのミニオンによるリーサルは挑発や全体除去でも止まるので、比較的防ぎやすい弱いリーサルです。このようにリーサルの確実さを判断し、それによって取るリスクの量を上げたり下げたりします。

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F3‐② 相手のライフを削る(重要度C)
リーサルが遠い序盤でもフェイスに行く理由はあります。2点や3点でもコツコツと相手のライフを削っておけば、後半に強引にリーサルを目指すことが出来たりします。また、ライフにプレッシャーをかけ続ければ、相手が自分のライフを気にして強気な選択ができなくなることもあります。この効果は軽くはありません。ただし、2点や3点のために大きなリスクを取るのはお勧めできません。逆に7点や8点稼げるのであれば、フェイスに行く価値が上がります。このあたりの判断も複合的なものになるので、非常に難しい要素です。

 

F2‐③ 自分のライフが危険(重要度B)
「T3‐①自分のライフを守る」で書いた通り、自分のライフが危ない場合はトレードが基本となりますが、相手のライフを削ることで勝率を高められる場合もあります。
相手 4/4
自分 4/5 7/7挑発(Z)
このような場合、4/5→4/4と有利トレードを選択することもできますが、自分と相手のライフによってはフェイスに行って4点稼ぐ選択肢もあります。「F3‐①リーサルが見える」と同様に、決着を早めることによって別のリスク(自分のライフが何かで削られる)を軽減することができるからです。相手のヒーローが直接フェイスにダメージを飛ばす手段を多く持つハンター・メイジの場合は特に意識すべきです。

 

・大雑把なまとめ
フェイスに行くと相手のライフを減らせるが、リスクが発生することが多い。
フェイスに行くことで逆にリスクが軽減できる場合もある。

 

・考え方のまとめ
フェイスに行くと何点稼げるか、それによって発生するリスクは何か、それは無視できるレベルか、そのリスクが発生した場合にリカバリーは可能か、総合的に勝率が高まるのはフェイスかトレードか。ターンごとに何の要素を重視すべきかを判断し続けることになります。この記事に書ききれていない事も多くありますし、状況ごとに絞ればさらに細かい要素もあります。似たようなことを繰り返し書いていますが、大事なのはバランス感覚です。このバランス感覚というものをすべて言語化して説明することは困難です。経験に基づく勘が大きな要素をしめるからです。勘を身に着けたいと思うなら、1戦1戦を雑にこなさないように心がけてみてください。時間はかかりますが、確実にプレイの質が高まっていきます。

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・終わりに
今回はここまでです。なるべく具体的な内容を書くように心がけましたが、曖昧な部分も多くなってしまいました。少しでも視野を広げる助けになれば幸いです。長文をお読みいただきまして、ありがとうございました。

 

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